この記事でわかること

- 手動のおすすめ商品欄がなぜ機能しなくなるのか、その構造的な理由
- 「実際に一緒に買われている組み合わせ」は受注データにあるが、店舗がCSVから集計し続けるのが現実的でない理由
- 送料込みライン(税込3,980円)を意識したクロスセルの設計
- RMSの組み合わせ販売設定でできることと、商品数が増えたときの限界
- 同時購入の自動表示が何を参照し、カート金額は見ていないこと
- 効果確認に使う「併売率」の意味と、サマリーメールでの確認方法
- 自動化したあとに確認すべき運用サイクル
EC-UPを運営するECデータバンク株式会社の島野です。
「クロスセルが大事なのはわかっている。でも関連商品欄を手動で更新する余裕がなく、気づいたら何ヶ月も放置している」という状況は、かなり多くの店舗で起きていることだと思います。
この記事では、クロスセルの概念説明はほぼしません。
「何を根拠に出し、どこまで手動でやり、どこから仕組みに乗せるか」を順番に整理します。
RMSを日常的に使っている方を前提にしているので、基本的な操作の説明は省いて、本題から入っていきます。
手動おすすめ欄の限界:なぜクロスセルが「放置」されるのか
運用コストの現実
「最初は設定したけど、気づいたら古いままになっていた」という状況、心当たりありませんか。
商品ページ内に関連商品へのリンクを手動で設置する方法は、商品数が少ない初期には機能します。
ところが取り扱い商品数が増えると、組み合わせのパターンが爆発的に増えます。
商品が20点あれば、理論上の組み合わせ数は190通りです。
新商品を追加するたびに既存ページのおすすめ欄も見直す必要が生まれ、更新が追いつかなくなるのは時間の問題です。
さらに問題なのは、感覚頼りで設定された関連商品が実際の転換につながっていないケースです。
「この商品と合いそう」と思って並べた商品が、受注データで見るとほとんど同時購入されていない、ということはよくあります。
客単価は「アクセスを変えずに上げられる変数」
楽天市場の売上は「アクセス数×転換率×客単価」で構成されます。店舗カルテ(R-Karte)でも、この3要素で売上を分解します。
このうちアクセス数を増やすにはSEO施策や広告にたよる必要もあり、転換率を上げるには商品ページの改善が伴います。 どちらも時間と費用がかかります。 一方、客単価は同じ来店での購入金額を引き上げる施策なので、新規集客のコストをかけずに成果へつなげやすい手段です。
クロスセル(同時購入)の最大の意義はここにあります。
すでに購入意欲のある状態のお客様に、もう一品を提案する構造だからこそ、費用対効果が高くなりやすいのです。
「実際に一緒に買われている商品」は受注データにある

「実際に一緒に買われているのはどれとどれか」の答えは、受注データにあります。
同じ注文番号に複数の商品が入っている注文が、同時購入です。
ただし、RMSから受注CSVを書き出して、注文番号ごとに商品を突き合わせ、組み合わせの出現頻度を出す作業を、日常運用として回している店舗はほとんどありません。
これまで1,000店舗を超えるお店と話してきましたが、この集計を継続しておすすめ欄へ反映している例は見たことがありません。
理由は単純です。手順自体は不可能ではありません。ただ、新商品の追加、廃番、季節変動のたびに集計をやり直す必要があり、日常業務としては続きません。
「分析の型を一度作れば次回は楽」という話も、初回の工数が大きい時点で着手されない、というのが実情です。
だから重要なのは、店舗がExcelで組み合わせを割り出せることではありません。
実績のある組み合わせが、商品ページに出続けている状態をつくることです。
データに基づかないクロスセルにはリスクもあります。
ターゲット層が異なる商品を並べると、購入検討中のお客様が余計な迷いを感じ、転換率を下げる可能性があります。
おすすめを増やせば良いわけではなく、「的を絞った提案」が重要なのはこのためです。
送料込みラインとクロスセルを連動させる設計
「あと〇〇円」という購買動機の特殊性
楽天市場の共通の送料込みラインは、39ショップの場合、同一店舗・同一注文で税込3,980円以上です。沖縄・離島等への配送は税込9,800円以上が目安になります。店舗が独自に3,980円未満のラインを設定している場合は、店舗の設定が優先されます。現行の条件は、楽天市場の送料無料ラインガイドと、出店者向けの共通の送料込みラインの案内で確認できます。
「あと少しで送料無料になる」という状況は、お客様が自発的に追加購入を検討し始める数少ないタイミングです。
この心理状態は、通常の購買行動よりも「もう一品」を加えるハードルが下がっています。
この瞬間に、ちょうど良い価格帯の商品が候補として見えていれば、提案と購買動機が重なりやすくなります。
反対に、送料込みラインとまったく関係のない高額商品や、すでに検討している金額より何倍も高い商品を並べても、心理的なフィットはありません。
商品ページでできること、カート画面でしかできないこと
ここを混同しやすいので、先に分けます。
「いまのカート合計が2,200円だから、800円前後の商品を出す」という判断は、カートの中身と合計金額を見たあとに初めてできます。
これはカート画面側の話です。
商品ページの関連商品欄や、後述する同時購入の自動表示は、その瞬間のカート合計を読みません。
今見ている商品ページに、あらかじめ「一緒に買われやすい商品」を出しておく、という事前の提案です。
送料込みラインとクロスセルを連動させる、というときの商品ページ側の設計は次の考え方です。
税込3,980円を超えやすい価格帯の商品を、実際に一緒に買われている組み合わせとして出しておく。
閲覧中の商品が2,200円なら、過去に一緒に買われている800円前後の商品がページ上にある状態をつくる、ということです。
カートを監視しているわけではありません。
見ている商品の併売実績と、送料込みラインを超えやすい価格帯を、先に合わせておく、という設計です。
RMS標準機能でできること・できないこと

組み合わせ販売設定の活用と設定の考え方
RMSには「組み合わせ販売設定」があります。
操作パスは「RMS > 店舗設定 > 商品管理 > 組み合わせ販売設定」です。
親商品1つに対して子商品は最大3つまで、商品ページに表示できる組み合わせパターンは最大2つまでです。
1クリックで親商品と子商品をまとめてカートに入れられるため、まとめ買いの導線としては使えます。
CSVによる一括設定には対応しておらず、1商品ずつRMS上で登録します。
注意したいのは、組み合わせ販売設定は各商品の通常価格でカートに入る機能であり、セット割引を自動で付ける機能ではない、という点です。
「単品より安いセット価格」を出したい場合は、別のセット商品として登録する話になります。
組み合わせ販売で効きやすいのは、合計金額が送料込みライン(税込3,980円)を超えやすい構成にすることです。
送料がかからなくなること自体が、まとめ買いの理由になります。
SKU数が少なく、商品構成が安定している店舗には有効な手段です。
取り扱い商品数が限られているうちは、この標準機能だけでも運用できます。
商品数が増えたときの限界点
取り扱い商品数が増えると、手動で管理すべき組み合わせのパターンが急増します。
新商品を追加するたびに既存の設定も見直す必要が生じ、廃番になった商品がセットに残ったまま表示され続けるリスクも出てきます。
「最初は機能するが、成長するほど機能しなくなる」というのが、手動クロスセル設定の構造的な課題です。
管理の精度を保つための工数が、事業の成長とともに増え続けます。
この課題を解決するのが、受注データに基づいた自動表示です。
クロスセルを自動化する:EC-UPの同時購入自動表示
自動化で解決できること
EC-UPは、楽天市場の商品ページ・コンテンツページ・トップページにシステムを設置し、掲載情報を自動更新するクラウドサービスです。商品ページでは9種類、コンテンツページ・トップページでは3種類に対応し、重複を除く全体では10種類のシステムを提供します。
このシステムのうち、「同時購入されやすい商品の自動表示」がクロスセル強化に直結する機能です。
仕組みは次のとおりです。
商品ページごとに、過去の注文情報から、その商品と同一注文で買われた実績のある商品を選んで表示します。
店舗が関連商品を1商品ずつ設定・更新する必要はありません。
ここで見ていないものも、はっきり書いておきます。
同時購入の自動表示は、いまのカート合計金額も、「あと何円で送料無料か」も、かごに入っている他の商品も参照しません。
表示場所は商品ページ(スマートフォン用商品説明文など)であり、カート画面のレコメンドではありません。
カートの差額をその場で埋める機能ではなく、閲覧中の商品と実際に一緒に買われている商品を、商品ページ上で先に見せておく機能です。
その結果として、併売率や客単価が動きやすくなります。
併売率とは、お客さんが1回の注文で複数の商品を一緒に買ってくれた割合です。
クロスセルが機能しているかを見るときの、いちばん直接的な指標になります。
EC-UP導入前後90日の内部データでは、同時購入割合・客単価に改善傾向が見られています。
ただしこれは複数施策を同時に行った結果であり、この機能単体の効果として数値化したものではありません。
自店舗での実際の効果は、試して確認していただくのが正直なところです。
自動化後も必要な確認サイクル
自動表示は、設定した組み合わせを店舗が毎月入れ替える運用ではありません。
受注実績に応じて表示が更新される前提なので、「候補を再集計して再設定する」作業は基本的に不要です。
見るべきなのは、数字と表示の確認です。
数字の確認には、EC-UPの無料オプション機能「サマリーメール」が使えます。
1日1回、アクセス数、転換率、客単価といったショップのサマリー情報をメールで送る機能で、このなかに併売率も入っています。
RMSを開かなくても、複数商品が一緒に買われている割合の変化を毎日追えます。
- サマリーメールで、併売率と客単価の変化を確認する
- 変化が薄い場合は、主力商品のページに同時購入が表示されているか、廃番や在庫切れが混ざっていないかを確認する
- 気になる点があれば表示内容を確認し、必要なら設定を見直す
この確認を回すだけで、放置されていたクロスセルを継続的に見られます。
慣れれば月1〜2時間の作業です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 同時購入の自動表示は、カートの金額を見て商品を選んでいますか?
A.見ていません。
EC-UPの同時購入表示は、今見ている商品ページに、過去の同一注文で一緒に買われた商品を出します。カートの合計金額や「あと何円で送料無料か」は判定材料に含まれません。カート画面で差額商品を出す機能ではなく、商品ページで併売実績のある商品を先に見せておく機能です。
Q2. クロスセルとアップセルの違いは、楽天運営で意識すべきですか?
A.クロスセルは「同時購入による横への広がり」、アップセルは「上位商品への誘導による縦の深掘り」です。
楽天市場での実装場面で言うと、クロスセルは別の商品を一緒にすすめるケースが中心です。アップセルは、商品ページ内で同カテゴリのグレード上位品を訴求する形が多くなります。どちらも客単価向上の手段ですが、商品ラインナップが横に広い店舗はクロスセルから着手するほうが成果につながりやすい傾向があります。
Q3. 受注CSVから自分で組み合わせを集計する必要がありますか?
A.必須ではありません。
受注データには答えがありますが、CSVを書き出して組み合わせ頻度を出し、おすすめ欄へ反映し続ける運用は、日常業務としてはほとんど回っていません。重要なのは集計手順を店舗が持つことではなく、実績のある組み合わせが商品ページに出続けていることです。
Q4. クロスセル用に出す商品はどう選ぶのが良いですか?
A.最優先は、実際の併売実績です。
次に、送料込みライン(税込3,980円)を超えやすい価格帯であること、同じ利用シーンやターゲットが重なっていること、消耗品同士のように利用タイミングが近いことです。「なんとなく関連しそう」だけで並べると、購入者層が違う商品が混ざり、選択に迷って離脱するケースがあります。
Q5. 組み合わせ販売設定と、同時購入の自動表示は何が違いますか?
A.組み合わせ販売設定は、RMSで親商品と子商品を手動登録し、1クリックでまとめてカートに入れる機能です。
親1つに対して子商品は最大3つ、表示パターンは最大2つ、CSV一括設定はできません。同時購入の自動表示は、過去の同一注文実績をもとに、商品ページへ関連商品を出す機能です。カート投入の操作をまとめる機能ではなく、閲覧中に次の候補を見せる機能です。
Q6. EC-UPとは何ですか?
A.EC-UPは、楽天市場の商品ページ・コンテンツページ・トップページにシステムを設置し、掲載情報を自動更新するクラウドサービスです。
商品ページでは9種類、コンテンツページ・トップページでは3種類に対応し、重複を除く全体では10種類のシステムを提供します。
Q7. 廃番や在庫切れの商品は、同時購入の表示から外れますか?
A.EC-UPの同時購入表示では、廃番や在庫切れの商品は自動で除外される仕組みです。
手動のおすすめ欄や組み合わせ販売設定では、店舗側で都度見直さないと、買えない商品が残ったまま表示されることがあります。
Q8. 併売率とは何ですか?どこで確認できますか?
A.併売率は、お客さんが1回の注文で複数の商品を一緒に買ってくれた割合です。
クロスセルが機能しているかを見る指標になります。EC-UPには無料のオプション機能として、1日1回、アクセス数・転換率・客単価などのサマリー情報を送る「サマリーメール」があり、このメールに併売率も含まれます。RMSを開かなくても、毎日の変化を確認できます。
まとめ
クロスセルが放置される本質的な理由は、手動更新の工数コストにあります。
仕組みがないまま始めると、商品数の増加とともに維持できなくなる構造です。
受注データには「実際に一緒に買われている組み合わせ」があります。
ただ、CSVから店舗が集計し続ける運用は現実的ではありません。
だから、その組み合わせは商品ページへ自動で表示します。
感覚ではなく実績に基づいたクロスセルが、更新作業なしで出続ける状態が目標です。
送料込みライン(税込3,980円)も意識してください。
商品ページの同時購入表示はカート金額を読みませんが、3,980円を超えやすい価格帯の併売商品を出しておくことで、「あと〇〇円」の購買動機と結果的に噛み合いやすくなります。
まずは主力商品のページに、一緒に買われやすい商品が出ているかを確認するところから始めてみてください。
あわせて併売率、つまり1回の注文で複数商品が一緒に買われている割合も見ておくと、現状把握がしやすいです。
EC-UPのサマリーメールを使っている場合は、アクセス数・転換率・客単価と一緒に、併売率が毎日届きます。
自動化の仕組みについては、EC-UPの30日間無料トライアルで実際に試すことができます。
自店舗の商品データを使って同時購入の自動表示がどう機能するか、ぜひトライアル期間中に確認してみてください。
店舗の状況に合わせた活用方法についても、お気軽にお問い合わせいただけます。











